act.23 罠

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緋色の絨毯と見るからに高価な調度品――。 (堅苦しいとこは苦手なんだよな……) チャイナドレスを身に纏う、美しい女性に案内された男が一人。 女性に聞こえないようにそう小さく呟いた。 わりと名前の知られた料理人が経営する中華料理店――。 値段も、格式も。 正直、男にはもて余すレベルで―― (ったく……。相変わらず、カッコつけのオッサンっつぅか……。いちいち気取らないと生きていけないのかよ、あのオッサンは……) 軽くため息を吐きながら―― 「あのさ……」 男は案内している女に声をかけた。 「なんでしょうか?」 女が足を止め、艶やかに微笑む。 「煙草。吸っていい?」 「申し訳ございません。廊下は禁煙となっておりますので……。今から案内する個室の方は喫煙できますゆえ、そちらの方でお願い致します」
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