act.23 罠

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表情一つ変えない女に、男が肩をすくめる。 「あ、そう。じゃあさ……」 男がニヤリと笑い、女の腰に手を回す。 「仕事が終わったらさ……デートしない? あ、今からでもかまわないんだけど?」 男の言葉に女がクスッと笑った。 「“銀狼”様……」 女は、わざと名前を強調して微笑む。 「佐多様がお待ちです。まずはそちらを済ませてから……」 銀狼と呼ばれた男が苦笑しながら、女の腰を引き寄せる。 「サタタなんてどうでもいいよ。俺、オッサンと二人で飯なんて食いたくねぇし。それより、君とデートの方が有意義な時間を過ごせる」 「銀狼様?」 女がたしなめるように首をかしげた。 「ああ、ハイハイ。わかりましたよ。サタタとお食事してお仕事すればいいんでしょ?」
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