act.23 罠

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扉の前に、気だるく寄りかかるようにして立っている銀狼に向かって、佐多が失笑しながら、視線を手元の書類に移した。 「ぬかせ。てか、お前はどうか知らんが……俺はお前のこと嫌いじゃない」 「そうなの? 俺はサタタのこと嫌いだけど?」 「かといって、好きでもないがな」 「どっちなんだよ!!」 二人のやり取りを見ていた案内人の女がクスリと笑った。 「仲のよろしいことで……」 「どこが!!」 ほぼ同時に突っ込む二人を女は軽くいなす。 「そういうところがです」 女が微笑みながら、軽く頭を下げ―― 「では、私はこれで……。心行くまでおくつろぎください。何か御用のある時は遠慮なくお申し付けを……」 「あ、じゃあ、アフターデート」 「それはお断りいたします」
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