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扉の前に、気だるく寄りかかるようにして立っている銀狼に向かって、佐多が失笑しながら、視線を手元の書類に移した。
「ぬかせ。てか、お前はどうか知らんが……俺はお前のこと嫌いじゃない」
「そうなの? 俺はサタタのこと嫌いだけど?」
「かといって、好きでもないがな」
「どっちなんだよ!!」
二人のやり取りを見ていた案内人の女がクスリと笑った。
「仲のよろしいことで……」
「どこが!!」
ほぼ同時に突っ込む二人を女は軽くいなす。
「そういうところがです」
女が微笑みながら、軽く頭を下げ――
「では、私はこれで……。心行くまでおくつろぎください。何か御用のある時は遠慮なくお申し付けを……」
「あ、じゃあ、アフターデート」
「それはお断りいたします」
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