act.23 罠

7/18
前へ
/18ページ
次へ
そのまま、女は踵を返し、足早に去って行った。 「ほんっと。つれないんだから」 ため息を吐く銀狼に対して、佐多も同じようにため息を吐いた。 「とにかく、早よ座れ。そんなとこに突っ立ってられたら、邪魔で仕方ないし、話もできん」 「ヘイヘイ、偉そうに……」 文句を言いながら、銀狼が扉を閉め、佐多の向かい側に座った。 「煙草、吸ってもいいか?」 そう問いかける銀狼に、佐多が無言で灰皿とライターを円卓の上で滑らせ、渡した。 それを受け取り、煙草に火をつけながら、銀狼が笑った。 「で? 好きでもない俺に頼みたい用事って何?」 「いきなり、本題かよ……」 「当たり前だろ。オッサンと面を付き合わせながら飯とか……。勘弁してほしい……」 切実そうに呟く銀狼に、佐多が苦笑した。
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25人が本棚に入れています
本棚に追加