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そのまま、女は踵を返し、足早に去って行った。
「ほんっと。つれないんだから」
ため息を吐く銀狼に対して、佐多も同じようにため息を吐いた。
「とにかく、早よ座れ。そんなとこに突っ立ってられたら、邪魔で仕方ないし、話もできん」
「ヘイヘイ、偉そうに……」
文句を言いながら、銀狼が扉を閉め、佐多の向かい側に座った。
「煙草、吸ってもいいか?」
そう問いかける銀狼に、佐多が無言で灰皿とライターを円卓の上で滑らせ、渡した。
それを受け取り、煙草に火をつけながら、銀狼が笑った。
「で? 好きでもない俺に頼みたい用事って何?」
「いきなり、本題かよ……」
「当たり前だろ。オッサンと面を付き合わせながら飯とか……。勘弁してほしい……」
切実そうに呟く銀狼に、佐多が苦笑した。
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