第1章

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「あ……、あぁ……」 ただ焼けていくのを見ていることしか出来なかった。 吐いた息は白いのに、皮膚は熱い。そして、体の芯は冷えきっている。 火柱が雲に届きそう、そんなことを考えていた。 「――君っ! こんな所にいたら火傷をするぞ! 早く離れろっ!」 身体中に煤を付けた銀の防火服を着た男が、私の腕を後ろへ引っ張る。 だが、私の足は固まったままだ。 「もしかして……、ここの子なのか?」 『ここの子』つまり、この焼けている家の子供か? と訊ねられている。 あまりのことにその肯定の一言すら出てこない。 無理もないだろう。 私の家が、 私の思い出が、 私の両親が、 私の全てが、 目の前で燃え尽きていく。 .
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