第1章

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「本当にお父さん言った通りだね。君は天才だ。 何でも一度見たモノは完璧に覚えてしまうらしいね」 父は余計なことまで相手に言っていたようだ。勿論、それは嘘ではない。 「ただ、見たモノに限りますよ?」 それだけの能力を持っていたって役に立ったことはほんの数回だ。 「いや、君は本当にお父さん似の天才だよ」 父を知っている人にそう言われるのは悪い気分ではない。 本当にそうならだが。 「君のお父さんは有能だったよ。だから、羨ましく思われると同時に疎ましく思う奴も現れた。 飛び抜けた才能を持って出た杭は打たれず、抜かれ、淘汰される。 ―――解るかな?」 そんなの解りきっている。 軽く頷いて肯定する。 .
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