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私の言葉を聞いたカイトが「ああ……」と苦笑した。
「別にかめへんよ。どうせ暇やったし。ほとんど調べて動いてくれたのは兄貴らやし。気にせんでもエエ」
「でも……」
「蜥蜴ちゃんが気になるんやったら、後でマックでなんか奢ってよ」
カイトは言えば違うと否定するだろうけど。
やっぱりカイトは優しくて。
いけないことだとわかってはいても、つい、その優しさに甘えてしまう。すがってしまう。
「さて。んなことより、彼氏の安否確認が先や。調べさせるだけ調べさせて、なんもせんで帰ったら、何言われるかわからんしな」
変わらない――カイトの軽口が今は救いになっていた。
病院に入っていくカイトの後ろをついていく。
病院独特の雰囲気と香りが私の不安をさらに煽りたてる。
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