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「おいおい……。そりゃ濡れ衣だな。先に仕掛けてきたのは、あの青年なんだぞ?」
「はぁ!? 何を言っとんのじゃ!?」
「“彼女を解放して欲しい”だとよ、蜥蜴」
勿体振るように肩をすくめ――
「……事務所にわざわざ来て、喧嘩売りにきたんだよ。あいつは。倍額で返してやるのが礼儀だろうが」
「喧嘩を売りにきたって……。事務所って……。私、そんなこと知らない……」
「自分で決着つけたいってやつなんだろ? 殊勝な男前だよなぁ、蜥蜴?」
佐多の笑顔が言っている――。
巻き込んだのは――お前なんだと。
私が遥汰のことを――
愛したりしなければ……
「だから言っただろうが」
うつむいたまま、何も言えない私に勝ち誇ったような笑顔を向ける。
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