act.26 焔

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寺鷹が私と佐多を黙って見つめる。 そうして、納得したように小さくうなずき、奥に消えていった。 黙ったままの私と佐多を包み込むように、静かにシャンソンが流れる。 お客は誰も居なくて―― 不思議な空気が二人の間を流れていった。 「お待たせしました」 寺鷹が鍵つきの箱を二つ持って戻ってきた。 箱をカウンターの上に置き、鍵を開ける。 カチンという軽い音と同時に、箱が開き―― 寺鷹が私たちの方に開けられた箱を向けた。 「手入れはしてあります。今すぐでも使えます」 箱の中に入っているもの―― 拳銃と弾丸――。 佐多が拳銃を手に取り、弾丸を装填していく。 カチャカチャという無機質な音を横で聞きながら、私も銃を手にした。
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