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寺鷹が私と佐多を黙って見つめる。
そうして、納得したように小さくうなずき、奥に消えていった。
黙ったままの私と佐多を包み込むように、静かにシャンソンが流れる。
お客は誰も居なくて――
不思議な空気が二人の間を流れていった。
「お待たせしました」
寺鷹が鍵つきの箱を二つ持って戻ってきた。
箱をカウンターの上に置き、鍵を開ける。
カチンという軽い音と同時に、箱が開き――
寺鷹が私たちの方に開けられた箱を向けた。
「手入れはしてあります。今すぐでも使えます」
箱の中に入っているもの――
拳銃と弾丸――。
佐多が拳銃を手に取り、弾丸を装填していく。
カチャカチャという無機質な音を横で聞きながら、私も銃を手にした。
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