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ゆっくりと弾丸を装填していく。
互いに銃を扱う音だけが響き、その合間をぬうようにしてシャンソンが流れていく。
身体の体温が徐々にあがっていく。
佐多と私の息づかいが重なっていく。
そこには、感情を越えた何かがあった。
「……よし」
佐多が拳銃を懐にしまい、視線だけで外に出るように促した。
それに無言でうなずき、外に出ていこうとした時だ。
「待ちなさい」
寺鷹が声をかけてきた。
「……どうぞ」
カウンターの上に差し出されたものは、深い蒼に彩られたカクテルだった。
「……なんだ、これは」
怪訝そうな佐多に対して、慇懃な態度を崩さず――
「僕からのサービスです。どうぞ」
「サービスって……お前な、俺達は今から……」
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