act.26 焔

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「ええ、わかってます。だからです。これは……僕からの餞別であり……」 そうして目をスッと細める。 “賭けです” 「……賭け?」 私の呟きに、寺鷹が微笑んだ。 「ええ、賭け。どうですか?……僕のお遊びに少し付き合って貰えないでしょうか?」 寺鷹の――意味ありげな微笑みと―― それとは対照的な意味をなしていない蒼のカクテル。 気がつくと、引き込まれるようにして、その蒼いカクテルを手にしていた。 「……頂きます」 「……おい」 佐多の困惑したような表情を無視して、カクテルを一気に飲み干した。 冷たい蒼からは想像できない程に、喉を熱くするそれはどこか心地よくもあった。 「……ありがとう」 寺鷹に笑みを返し、グラスを置く。 寺鷹が嬉しそうな――反面、どこか哀しそうな笑みを浮かべた。
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