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「ええ、わかってます。だからです。これは……僕からの餞別であり……」
そうして目をスッと細める。
“賭けです”
「……賭け?」
私の呟きに、寺鷹が微笑んだ。
「ええ、賭け。どうですか?……僕のお遊びに少し付き合って貰えないでしょうか?」
寺鷹の――意味ありげな微笑みと――
それとは対照的な意味をなしていない蒼のカクテル。
気がつくと、引き込まれるようにして、その蒼いカクテルを手にしていた。
「……頂きます」
「……おい」
佐多の困惑したような表情を無視して、カクテルを一気に飲み干した。
冷たい蒼からは想像できない程に、喉を熱くするそれはどこか心地よくもあった。
「……ありがとう」
寺鷹に笑みを返し、グラスを置く。
寺鷹が嬉しそうな――反面、どこか哀しそうな笑みを浮かべた。
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