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「先に行ってるわよ」
何かを言いたげな佐多を置いて、先に店を出る。
背後から聞こえる――
「ありがとうございます」という寺鷹の言葉に手を振った。
外に出ると、ふわりと夜の潮風が頬をかすめた。
身体中を駆け巡るカクテルの熱を冷ますように――
潮風が私の身体を包み込む。
心地よい潮風に目を閉じ、全身で味わっていると、佐多の気配を感じた。
「……行こうか」
それだけを私に伝えると、来た時と同じように、佐多が先導して歩き出した。
クラウンに乗り込み、佐多の方を向く。
「……これから、どうするの?」
正当な手順を踏むなら――
組織の立ち会いのもと、私と佐多は戦うことになる。
佐多が私の方に少しだけ視線を動かした。
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