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「もしも俺が……」
佐多の手が私の頬に触れ――
思わず、身を強張らせる。
「お前と一緒に……未来を築きたいと言ったら?」
「……え?」
頬に触れた手が。
優しく撫でられ――
「蜥蜴……。俺は……お前ともう一度やり直したい。違う形の愛を……お前と築きたいんだ……」
優しくて、悲しい響きを持ったその言葉が……
私の身体を縛りつけるようで……
動けない――。
だけど――
「……無理よ。もう……遅すぎる……」
振り絞るようにして、佐多に伝える。
佐多の笑顔が――私の身体を縛りつける――。
このまま、佐多の胸に飛び込んでしまえれば。
いっそ、佐多の愛に答えられれば楽なのに――
もう、何もかもが遅すぎたのだ。
私は――
遥汰を強く愛してるから――
愛してしまったから――。
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