act.26 焔

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「もしも俺が……」 佐多の手が私の頬に触れ―― 思わず、身を強張らせる。 「お前と一緒に……未来を築きたいと言ったら?」 「……え?」 頬に触れた手が。 優しく撫でられ―― 「蜥蜴……。俺は……お前ともう一度やり直したい。違う形の愛を……お前と築きたいんだ……」 優しくて、悲しい響きを持ったその言葉が…… 私の身体を縛りつけるようで…… 動けない――。 だけど―― 「……無理よ。もう……遅すぎる……」 振り絞るようにして、佐多に伝える。 佐多の笑顔が――私の身体を縛りつける――。 このまま、佐多の胸に飛び込んでしまえれば。 いっそ、佐多の愛に答えられれば楽なのに―― もう、何もかもが遅すぎたのだ。 私は―― 遥汰を強く愛してるから―― 愛してしまったから――。
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