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「兄貴……。マルさん……。なんで……」
「なんでやあれへん!! これはカイト君が介入すべきやない……そのことがわからんか!?」
おそらく。
男は、カイトが何度か私に言っていた――兄貴分の一人なのだろう。
「カイト君……。帰るで」
穏やかではあるが、有無を言わせない強い言葉――。
それでも動かないカイトに、ため息を吐き――
「帰るで!!」
叱るようにピシャッと言い放つ。
ビクッとカイトの身体が震え――。
「……ゃ」
小さな声で何かを呟いた。
「なんや? なんて言うた? カイト君?」
「嫌じゃ、言うたんじゃ!!」
カイトが兄貴分の男をキッと睨み付ける。
「俺は蜥蜴ちゃんと約束したんじゃ!! あんたについてったるって!! あと、佐多のオッサン殴らせろって!! それからタクシー代!!」
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