act.26 焔

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「兄貴……。マルさん……。なんで……」 「なんでやあれへん!! これはカイト君が介入すべきやない……そのことがわからんか!?」 おそらく。 男は、カイトが何度か私に言っていた――兄貴分の一人なのだろう。 「カイト君……。帰るで」 穏やかではあるが、有無を言わせない強い言葉――。 それでも動かないカイトに、ため息を吐き―― 「帰るで!!」 叱るようにピシャッと言い放つ。 ビクッとカイトの身体が震え――。 「……ゃ」 小さな声で何かを呟いた。 「なんや? なんて言うた? カイト君?」 「嫌じゃ、言うたんじゃ!!」 カイトが兄貴分の男をキッと睨み付ける。 「俺は蜥蜴ちゃんと約束したんじゃ!! あんたについてったるって!! あと、佐多のオッサン殴らせろって!! それからタクシー代!!」
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