act.26 焔

4/29
前へ
/29ページ
次へ
感情の赴くままに、言葉を発するカイトに対して、佐多が失笑した。 「……殴るはともかく。タクシー代ってなんだよ?」 「やかましい!! オッサンには関係あれへん!!」 カイトの勢いは、今にも飛びかからん勢いで――。 「これは、俺と蜥蜴ちゃんとの約束やねん!! オッサンにも兄貴にも……関係のないことや!!」 「ええかげんにせぇや!!」 カイトの言葉に被せるようにして、兄貴分の男が怒鳴り付ける。 「これはな……カイト君だけの問題やないんや!! 介入して、どちらかに加担すれば、パワーバランスが崩れる!! ここら一帯……いや、全体を巻き込む争いに発展しかねん!!」 そうして……悲しげに呟く。 「カイト君の気持ちもわかる。その人を……好きなんやろ? 好きな人を守りたいんやろ?」
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

26人が本棚に入れています
本棚に追加