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「カイト!!」
敢えて、突き放すように――
敢えて……冷たく言い放つ。
カイトを巻き込んではいけない。
カイトには――カイトの未来があって、進むべき道が見えている。
カイトのことを心配している――目の前の男の為にも。
ここでカイトと決別しなければならない――。
「カイト……。貴方には関係ないから。その人と……一緒に帰りなさい。貴方とは……もう、これで。ここで最後にしましょう。二度と!! 私の前に現れないで!!」
「と……かげ、ちゃん……」
子供が母親に――
姉にすがるようなその表情が私の胸を締め付ける。
「カイト君……。帰ろ? アニキもな、待っとるから。帰ったらカイト君の好きなもん、作ってあげるから。ごはん、食べてへんのやろ? 何が食べたい?」
兄貴分の男が、カイトの肩を優しく抱く。
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