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カイトがグッと拳を握り――
私を睨み付けた。
「勝手にせぇや!! ああ、蜥蜴ちゃんの言う通りにしたるわ!! それで満足なんやろ!? どいつもこいつも……人を振り回すのも大概にせぇや!!」
そのまま、カイトは玄関を飛び出して行ってしまった。
カイトの声が――。
怒鳴り付けられた時の声が泣いていた――。
胸が締め付けられる――。
「カイト君!!」
走り去ったカイトの背中に兄貴分の男が呼び掛け――。
こちらを向いた。
「あの……すんませんでした」
「いや、気にしちゃいねぇけど……ガキの子守りも大変だな、マル」
「カイトはガキじゃない。良い男よ。私にはもったいないぐらいに良い男。ガキじゃない」
佐多の皮肉に、言葉を返す。
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