act.26 焔

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カイトがグッと拳を握り―― 私を睨み付けた。 「勝手にせぇや!! ああ、蜥蜴ちゃんの言う通りにしたるわ!! それで満足なんやろ!? どいつもこいつも……人を振り回すのも大概にせぇや!!」 そのまま、カイトは玄関を飛び出して行ってしまった。 カイトの声が――。 怒鳴り付けられた時の声が泣いていた――。 胸が締め付けられる――。 「カイト君!!」 走り去ったカイトの背中に兄貴分の男が呼び掛け――。 こちらを向いた。 「あの……すんませんでした」 「いや、気にしちゃいねぇけど……ガキの子守りも大変だな、マル」 「カイトはガキじゃない。良い男よ。私にはもったいないぐらいに良い男。ガキじゃない」 佐多の皮肉に、言葉を返す。
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