act.26 焔

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「あんたは自覚ないかもわからんけどな……。あんた、多分……“魔性”やな」 「魔性って……」 無理もないが……初対面なのに、随分な言われようである。 「あ、魔性って誉め言葉やで? なんちゅうか……あんたの為なら、命すら惜しくないっていう雰囲気があるっちゅうか……。破滅しても構わないっちゅうか……」 マルムスが複雑そうに笑いながら、続ける。 「現に、カイト君は相当あんたにイカれとる。カイト君だけやないな。叔父貴も相当イカれとるやろ?」 マルムスがニヤニヤしながら佐多の方を見ると、佐多が憮然とした表情のまま、横を向いた。 「でもな……」とマルムスは寂しそうに呟く。 「俺、カイト君は破滅させたないねん。カイト君が望んでも、それはイヤやねん。俺、カイト君のこと、かわいくて仕方ないから……」
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