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佐多が苦しそうに喉の奥から声を出し――
「離……せっ!!」
手首を掴まれ、腕を反転させられる。
体勢を崩し、ドアにぶつかった。
一瞬だけ――
背中に痛みが走ったが、暴発しそうなほどに身体中を駆け巡る怒りの感情がそれを打ち消した。
佐多が突き飛ばすようにして、私から離れた刹那――
指輪が佐多の手から滑り落ちた。
あわててそれを拾い上げると、佐多が平手打ちを繰り出してきた。
佐多の平手打ちを寸前でかわし、腕で受け止め。
逆に足で腹を蹴りあげた。
「……っあ!!」
くぐもったような叫び声とともに、今度は佐多の身体が叩きつけられる。
その隙をついて、転がり落ちるようにして、クラウンから飛び出した。
コンクリートの上に倒れこみ、あわてて立ち上がる。
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