act.27 哀と愛

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撃鉄を起こす音が耳を捕らえ。 佐多の手を見ると、その手には寺鷹から貰い受けた拳銃があった。 「愛してたよ……。蜥蜴……」 銃口が―― 私を捕らえる。 「これから先も……お前程に愛する女は居ないだろうな……」 優しくて。悲しい――声。 ポタリと―― 頬に冷たいものが当たった。 涙……。 佐多の瞳から…… 零れ落ちた涙だった。 泣いてる……。佐多が……泣いてる……。 この男と共に過ごした日々の中で。 初めて見た……佐多の涙……。 私も。佐多も。 互いに求め、愛していた。 ただ…… 愛し方を間違えた……。 そして、今は…… 私は遥汰を愛していて…… 私は遥汰の元に帰りたい。 もう一度だけ、顔を見たい。 だから……。
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