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撃鉄を起こす音が耳を捕らえ。
佐多の手を見ると、その手には寺鷹から貰い受けた拳銃があった。
「愛してたよ……。蜥蜴……」
銃口が――
私を捕らえる。
「これから先も……お前程に愛する女は居ないだろうな……」
優しくて。悲しい――声。
ポタリと――
頬に冷たいものが当たった。
涙……。
佐多の瞳から……
零れ落ちた涙だった。
泣いてる……。佐多が……泣いてる……。
この男と共に過ごした日々の中で。
初めて見た……佐多の涙……。
私も。佐多も。
互いに求め、愛していた。
ただ……
愛し方を間違えた……。
そして、今は……
私は遥汰を愛していて……
私は遥汰の元に帰りたい。
もう一度だけ、顔を見たい。
だから……。
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