act.27 哀と愛

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「さよなら……。蜥蜴……」 佐多が引き金に指をかけるのとほぼ同時だった。 遥汰から貰った指輪を―― 私に向けられている銃口に押し込め―― 「……っ!?」 佐多の動きが止まる。 向けられていた銃口が、私から外され――。 その隙を突くようにして、胸の上に置かれている佐多の足を掴み、引っ張った。 体勢を崩した佐多が私の掴んだ手を振り払うようにして、蹴りあげる。 腕全体に走り抜けるような痛みをこらえ、立ち上がる。 佐多が再び、銃口を私に向ける。 佐多の視線と私の視線が絡み合う。 刹那―― 誰も居ない――二人だけのその場所に―― 銃撃の音が響いた――。 「……何で」 血で紅く染まっていく……。 “それ”を見ながら――何度も頭を過る―― “なぜ”という言葉――。
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