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「さよなら……。蜥蜴……」
佐多が引き金に指をかけるのとほぼ同時だった。
遥汰から貰った指輪を――
私に向けられている銃口に押し込め――
「……っ!?」
佐多の動きが止まる。
向けられていた銃口が、私から外され――。
その隙を突くようにして、胸の上に置かれている佐多の足を掴み、引っ張った。
体勢を崩した佐多が私の掴んだ手を振り払うようにして、蹴りあげる。
腕全体に走り抜けるような痛みをこらえ、立ち上がる。
佐多が再び、銃口を私に向ける。
佐多の視線と私の視線が絡み合う。
刹那――
誰も居ない――二人だけのその場所に――
銃撃の音が響いた――。
「……何で」
血で紅く染まっていく……。
“それ”を見ながら――何度も頭を過る――
“なぜ”という言葉――。
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