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「……何で、隙を作ったの?」
「隙……?」
佐多がニヤリと笑う。
「嫌味な女だ……。隙なんか作った覚えはねぇよ……。お前さんの方が……上手だった……。それだけの話だよ……」
佐多がガクリと身体を傾け、膝をつく。
佐多の腹からにじみ出る血を見ながら――
寺鷹から貰い受けていた銃を手に――
まとわりつくような硝煙の匂いを感じながら――
ポタリと。
私の頬に涙がつたい落ちた。
「……ウソつき」
「ウソじゃねぇ……。マジだ……」
からかうように笑いながら、佐多が地べたに転がった。
「ははっ……。けど……なんかすっきりしたな……。ああ、悪くない」
「ほら」と何かを投げて寄越す。
受け取って見れば――
「……指輪」
「遥汰君から貰った大事なものなんだろう? 簡単に手離すなよ。無くしても知らねぇぞ」
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