act.27 哀と愛

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「ああ、それから……」と佐多がもうひとつ投げて寄越す。 「これ……」 「餞別だ。寺鷹んとこに預けてある。その鍵を持って寺鷹んとこに行け。あとは寺鷹から聞けよ」 佐多が苦しそうに咳き込んだ。 「あんたは……」 “一緒に行かないの?” そう言いかけて、言葉を呑み込む。 「……お前、何を言いかけたんだよ?」 私の呑み込んだ言葉を――察したように苦笑しながら、佐多が手招きした。 黙ったまま、佐多に近づき、佐多の前に座る。 佐多の手が私の頬に触れ、愛しそうに撫でられた。 「お前さ……。こんな時ぐらい……“あんた”じゃなくってよ……。名前で呼べよ……」 「バカ……」 「なんだよ、何を泣いてんだよ……」 まるで会話になってない――滅裂な言葉を互いに紡ぎ――
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