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「だから……わざと隙を作ったんやろ? 好きやったから……」
「撃たれてやったってか?」と佐多が笑い――
「蜥蜴みたいなこと言いやがって……。あの女相手にんな器用な真似、できるわけねぇだろが。隙なんざ作る余裕はねぇよ」
佐多の苦笑にカイトも苦笑で返す。
「さよか……。そういうことにしといたるわ」
「んなことより」と佐多がカイトに言う。
「お前、ここに居たら巻き込まれるぞ?」
「あ?」
「蜥蜴の始末をしくじったからな……。組織の奴らが俺を始末しにくる。お前が巻き込まれたら、マルのヤツがうるさいからな……。早よ、どっか行け」
手でしっしっとやるように、佐多がカイトを追い払う。
「……オッサンはどうすんねん」
「アホか、お前は……」
言った後に、我ながらバカなことを聞いているとカイトは思う。
案の定、佐多が笑った。
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