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「やり合うんなら、やり合うで俺はかめへんけど」
警戒を解かない男達にカイトがニヤリと笑う。
「ただ……」とカイトが構え、威嚇するように男達を睨み――
「俺も本気で行くつもりやからな。覚悟してかかってきいや?」
カイトの殺気に男達が一瞬怯む。
「おい……」
男の一人が男達を促すように、見渡した。
「“あれ”を片付ける方が先だ。雑魚にはかまうな」
男の言葉をきっかけに、一団はカイトの囲みを解き、バタバタと横を通り過ぎて行った。
「雑魚……。言うてくれるわ……」
ふんっと鼻を鳴らし、カイトは再び歩き出す。
(あのオッサン……。降りかかる火の粉は自分で払う言うとったけど……)
おそらくは無理だろう。
あの怪我で、あの人数を相手にするのは、無理がある。
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