act.27 哀と愛

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(まぁ、オッサンの性格やったら、抵抗しまくって足掻きまくるんやろうけどな……) それは楽には死ねないということ。 ぼろぼろにされて、苦しみながら死ぬことになるだろう。 (あのオッサンに相応しい死に方やな。ま、俺には関係あれへんし) そうして歩を進めて、止まる。 (蜥蜴ちゃんは……) 蜥蜴ちゃんは泣くんだろうか? オッサンがそんな風に死んだとわかったら…… 彼女はきっと泣くだろう。 生涯、後悔して生きるだろう。 カイトがうんざりしたようにため息を吐く。 (ホンマに……) ヒュンッという空を切る音と共に―― (俺って……損な性格……。貧乏クジ引きすぎや……) 折り畳み式の警棒を構え―― (兄貴ら……。骨は拾ってくれるかな?) そのまま、踵を返し、カイトは佐多の居る場所を目指した。
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