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シュルっという衣擦れの音と同時に、そのままネクタイを口に噛ませられる。
「……!?」
あわてて、噛ませられた猿轡を口から外そうと手をやると、手首を捕まれ、押さえつけられた。
ベルトを外す音が聞こえ――
両方の手首に巻き付けられる。
振りほどこうと両腕で佐多を押し返そうとすると、いとも簡単に捕らえられ、ウィンドウにある取手にくくりつけられてしまった。
「……いい格好だ。蜥蜴。刺激的で……そそられる」
両手を頭の上で縛りつけられ、猿轡を噛まされた私を見ながら、揶揄するように佐多が笑った。
少し力を入れれば、ほどけそうなのに、緩むことはなく。
「あんまり暴れないほうがいい。手首を痛めるぞ? 仕事に差し支えたらどうすんだ?」
“仕事”と強調され、佐多を睨み付ける。
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