act.27 哀と愛

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シュルっという衣擦れの音と同時に、そのままネクタイを口に噛ませられる。 「……!?」 あわてて、噛ませられた猿轡を口から外そうと手をやると、手首を捕まれ、押さえつけられた。 ベルトを外す音が聞こえ―― 両方の手首に巻き付けられる。 振りほどこうと両腕で佐多を押し返そうとすると、いとも簡単に捕らえられ、ウィンドウにある取手にくくりつけられてしまった。 「……いい格好だ。蜥蜴。刺激的で……そそられる」 両手を頭の上で縛りつけられ、猿轡を噛まされた私を見ながら、揶揄するように佐多が笑った。 少し力を入れれば、ほどけそうなのに、緩むことはなく。 「あんまり暴れないほうがいい。手首を痛めるぞ? 仕事に差し支えたらどうすんだ?」 “仕事”と強調され、佐多を睨み付ける。
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