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「……なんだ、これは」
佐多が指輪を手にして眺める。
「ああ……そうか……」と佐多が笑った。
「あいつか……」
勝ち誇ったような笑みを浮かべ――。
「遥汰君から貰ったのか?」
指輪を握りしめ、見せつけるようにして拳を目の前にかざし。
「残念だったな、蜥蜴。これは無用のものになった」
「全く……」と指輪を軽く投げ、受け止め、もう一度握りしめ。
「だからわきまえろと忠告したんだ。自分の身一つ守れない男が……惚れた女を守れると。本気で思ってたんなら……ずいぶんとおめでたい男に惚れられたもんだな、蜥蜴?」
揶揄する言葉が胸をえぐるように貫く。
「あげくこのざまだ。本当に……おめでたくて、笑えるほどにバカな男だったな」
その言葉を聞いた瞬間――
全身に火がついたように、熱く身体が燃え上がる。
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