act.27 哀と愛

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「……なんだ、これは」 佐多が指輪を手にして眺める。 「ああ……そうか……」と佐多が笑った。 「あいつか……」 勝ち誇ったような笑みを浮かべ――。 「遥汰君から貰ったのか?」 指輪を握りしめ、見せつけるようにして拳を目の前にかざし。 「残念だったな、蜥蜴。これは無用のものになった」 「全く……」と指輪を軽く投げ、受け止め、もう一度握りしめ。 「だからわきまえろと忠告したんだ。自分の身一つ守れない男が……惚れた女を守れると。本気で思ってたんなら……ずいぶんとおめでたい男に惚れられたもんだな、蜥蜴?」 揶揄する言葉が胸をえぐるように貫く。 「あげくこのざまだ。本当に……おめでたくて、笑えるほどにバカな男だったな」 その言葉を聞いた瞬間―― 全身に火がついたように、熱く身体が燃え上がる。
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