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「私が君たちを受け持つ戸村だ。
宜しく頼む。
まずは朱鷺宮。
宮家に繋がりし方が宮の指定校に通わず、
何故に、この学院を選ばれたかはわかりかねるが、
宮家のものとて、私にとっては一生徒に過ぎぬ。
それだけは、朱鷺宮も忘れぬよう」
「構いません」
いきなり釘を刺すように伝えてくる戸村。
俺だって宮に縁があるからと言って
最初から特別待遇を求めたことはない。
抗議するようにきっぱりと言い切る。
「そして徳力。
早城の甥子らしいな。
騒々しい一年になりそうじゃわい。
精進せよ」
戸村はそう言って徳力を見つめた。
早城の甥子……。
そうか……ここはアイツの関係者が通ったことがあった学校。
そう言うことか……。
そのまま戸村に連れられて案内される教室。
かったるい入学式。
その時間も俺が無意識に追いかけるのは徳力の存在。
転校初日、一発目。
生神として生息した徳力を知る村の奴とアイツは再会したらしく、
教室内が騒動に包まれる。
徳力は何を言われても黙ったままで次第に、
奴らのターゲットは俺へと変わってくる。
「もう一人の転校生を紹介する。
朱鷺宮涼夜くんだ」
「朱鷺宮?」
「あの……司宮(つかさのみや)の弟?」
興味本位な声が容赦なく降り注ぐ。
テレビにも何度も顔を出している兄。
そして兄だけは会えなくなっても時折、
俺の話題に触れた。
だからか……顔も何もしらない朱鷺宮と言う存在が、
司宮と言う存在の弟であることのみは、世間にも知られている。
「司宮竜也(つかさのみや たつや)は俺の兄です」
顔色一つ変えず、お決まりの言葉を俺はクラスの奴らに返した。
そんな幕開けから始まった新生活。
近くで覗き見る徳力神威は、
俺にとって何処までも気に入らない奴だった。
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