3.転校~気に入らないヤツ~

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この学院、神前悧羅には彩音紫【あやね ゆかり】理事長が取り入れた HBW【ハウス・ブレイン・ワーク】制度と言うものがある。 デューティーは指導する側。 ジュニアは教えられる子供。 デューティにとってのデューティは、 俺にとってのシニア・デューティー。 そしてそれぞれの縦割グループの中の代表が グラン・デューティーと呼ばれていた。 俺の場合のグラン・デューティーは今年度の昂燿寮長のKING。 そしてデューティーは今から向かう琉崎樹羅【るざき いつら】。 大女優の息子で自分自身も俳優業とモデル業で芸能界を活躍している。 「デューティ樹羅、朱鷺宮です」 「いいよ。入って」 中から声が聞こえて室内へと体を滑り込ませる。 「櫻庭KINGから聞いてる。  高等部の間、転校だって」 「はい。  一身上の都合で」 「涼夜が決めたことなら俺は何も言わないよ。  ただ、逃げ出すんじゃねぇ。  それだけだよ」 デューティはそう言うと帰国した直後、 そのままに広げまくってる鞄の中身を整頓し始める。 「涼夜、餞別に持っていくといい。  有村の新作だ」 そう言って、自身が専属提携している ブランドの何かが入っている箱を投げ寄越した。 「お世話になりました。  頂いていきます」 「涼夜、日本語はしっかり使え。  まだまだ面倒見てやるから何時でも連絡しておいで」 そう言って、名刺らしきカードを投げ寄越す。    その名刺を慌てて受け止めると、 俺はそのまま、デューティの部屋を後にする。 明くる日、倉智の迎えが到着すると そのまま車を走らせて香宮学院への敷地内へと侵入する。 そこでそのまま転入テストを受けて、 入学が決まったと同時に倉智によって入学金などが振り込まれ 明日からの入学を許されることになった。   翌日、俺は急きょ誂えさせた学院の制服に袖を通して 倉智の車で学院の門を潜った。 倉智と離れて一人で校舎に向かう最中、 あの写真で見た徳力神威を見つけた。
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