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――――
闇だけがあった。
俺の身体にまとわりつくような闇――。
どろどろして、冷たくて――
眠っているのか、起きているのか、それすらわからなくて――
確かめてみたいけれども、動くことがとても億劫で――
そのまま、横たわっている無気力な俺の耳に声が聞こえた。
“遥汰君――”
……なずなさん。
なずなさんの声がする――。
気力を振り絞り、声のする方を向くと――
そこに彼女はいた。
また……泣いてるの?
“遥汰君……。ありがとう……”
泣かないで――。今――貴女の側に行くから――。
貴女を抱きしめて――貴女の涙を止めるから――
だから――
どうか、泣かないで――
“遥汰君……。あなたは私の最初で最後の愛する男”
“愛してる――。今もこれから先も――”
“ずっとずっと愛していくから”
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