エピローグ

3/23
63人が本棚に入れています
本棚に追加
/23ページ
「初めての人はみんなそう言うんですよ」 女性が明るくケラケラと笑う。 「……地元の方ですか?」 青年が荷物を引き寄せながら、女性に話しかけた。 「ええ。次に降りるバス停の側でお店をやってるの。“きな粉餅団子”っていうお店なんだけど……」 「和菓子屋さんですか?」 「そう。わかりやすいでしょ? 小さな店を一人でやってるから大変で……」 苦笑しながら説明する女性を見ながら、それでも繁盛してるんじゃないのかなと青年は思う。 気さくそうにしながらも、こちらに気を使っているのがなんとなく感じられて―― 日中、人と接することが多いんじゃないのかなと、そんなことを想像する。 「……貴方は?」 「え? 俺ですか?」 「あ、ごめんなさい。この路線……小さな集落が点在するぐらいで、観光地がある訳でもないから、どこに行くのか気になって……」
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!