第2章

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香菜の勢いに押されて自分の部屋まで案内したのは良いとして、一人暮らしの男の部屋に女が遊びに来るというのは倫理的に大丈夫か? そんな智之の悩みは不発に終わった。 彼女の希望通りコーヒーを淹れたのだが、香菜はコーヒーを美味しそうに飲んだら直ぐに帰ったのだから。 智之は帰り際の彼女の言葉を思い出していた。 『この部屋なら私の店から遠くないし、またコーヒー飲みたくなったら遊びに来るね』 そして香菜の辞書には前言撤回という物がないのか、この日以降、まるで猫のように気儘に智之の部屋に遊びに来るようになった。 遊びにと言っても本当にコーヒーを飲むだけだ。 同じ故郷を持つ同じコーヒーを好む同級生。 ただそれだけ。
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