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パソコンのキーボードを操作していた男はその手を力無く身体の横へ投げやり、天井を見上げると溜息をついた。
「……ダメだ」
嵐に館なんて組み合わせの推理物作品なんてこの世に掃いて捨てるほどある。
男はこれでも小説家であった。
出版社の新人賞を受賞してから何年経過したであろうか。
期待の新人として華々しくデビューしたまでは良かったが、それからの作品は鳴かず飛ばず。
現在スランプのド真ん中である。
男はもう一度盛大に溜息を吐き出したあと、サイドテーブルに置かれたマグカップを手に取り仰ぎ飲む。
冷えきって苦味だけがやたらと強調されたコーヒーに思わず舌打ちをする。
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