第1章

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そのとき初めて 「降ります!」と 言ってくれた人に助けてもらったのだと気づいた。 その人が「降ります!」 と言ってくれなければ、きっと私は電車を降りられず、次の駅まで乗ってしまっていただろう。 学生なら制服を見れば、どこの駅で降りるかなんてだいたい分かるから、いつまでも降りない私に見かねて、きっと助け船を出してくれたのだと。 その人の 顔も名前も分からないけれど また会えたらと思っていた。 それからは 満員電車も前ほど苦痛じゃなくなっていた。
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