11人が本棚に入れています
本棚に追加
白川杏 瑞樹の元恋人。
二人が初めて出会ったのは、高校の入学試験の帰り。
瑞樹が学校前のバス停でバスを待って居るといきなり声を掛けられた。
「あの? あなたも試験帰りですか?」
「えっ!」
「あぁ。ごめんなさい。やっと、一人で居る人を見つけたのでつい。この高校、自分だけしか受験しなかったので一人で居る人をずっと捜してたんです。あぁ、私、白川杏といます」
「自分は、古村瑞樹といいます」
会話が出来た事で彼女の顔が笑顔に変わった。
「でも、いきなり声掛けて迷惑では、ありませんでしたか?」
「大丈夫です。バスの時間までまだ時間ありますから」
「本当ですか? だったらもう少しここにいてもいいですか?」
「はい。えっと白川さん?」
「はい? 古村さん」
「入学式で会えるといいですねぇ? 僕達」
「はい」
その運命と言える彼女との出会いから二か月後、入学式で再開し、一学年が終わる頃には恋人になっていた。
けれど、卒業が近づくにつれて自分の中で彼女の存在が邪魔になった。
そして、一年前に二月十四日に一方的に別れを告げた。
★
「瑞樹。杏ちゃんの気持ち考えた事あるのか?俺が口挟むことじゃないけど。もうお前の事叩いてるけど」
「あいつの気持ち?」
首を傾げる瑞樹を見てもう一度ため息をつく。
「はぁ…お前、自分の事しか考えてなかったんだろ。瑞樹、今から、杏ちゃんに電話してこい。この料理を食べるのは、俺じゃない」
キッチンを出て行った俊は、リビングに行き瑞樹のスマートフォンを持って戻って来た。
「瑞樹。お前のスマートフォン。あとは、俺がやる」
戸惑う瑞樹にスマートフォンを押し付け、キッチンから追い出した。
★
最初のコメントを投稿しよう!