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ただ、亨の横にいるのがいつしか当たり前になっていて、それはきっと、これからも続いていくものだと漠然と思っていた。
この行き場のないやるせない気持ちが、結婚に対する焦りからくるものなのか、それとも亨を失ったことに対する執着からくるものなのか。どちらもそうかもしれない。でも、多分それだけではない。
……淋しいんだ。悲しくて堪らないんだ、私。
今日のこれは、今の状態に勝手に満足して、亨のことを強く想い続けることが出来なかった私への罰なのだろうか。
「奈津さぁん。着替え、ここに置いておきますねぇ」
そこへ、脱衣場からハゲ坊主の母親の明るい伸びやかな声が聞こえてきた。慌てて声をつくってお礼の言葉を返す。お風呂場の中だから、きっと私の震えた声も気づかないだろう。
ーーその後、私は何度も湯船の中に頭まで潜っては暫くの間泣き続けた。
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