訓練と憑依と野望

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 ふたりは本部の一室に呼び出され彼の相談を受けていた。  「で?天使因子の事か王騎、こんなクソ忙しい時に呼び出すなよ」  師龍が露骨に嫌そうな顔をして目の前の大将に文句を言う。  「そう言うなよ師龍、今回は独断で決めちまうと流石にダメな気がしてな。お前たちふたりに話しておきたいんだよ」  「んで?今回はなにが欲しいんだ」  タバコをふかしながら零条は子供に聞くような態度でその話を聞く。  「今回欲しくなったのは一条 清明の席だ」  その言葉を聞いた瞬間に聞いていたふたりの動きがピタリと止まる。  「そろそろ清明のやり方にはうんざりしていた所だ、お前たちもそう思うだろう?椅子にふんぞり返って楽ばかりしているお山の大将にさ」  「全くおまえの強欲は底が知れねぇなぁ、しかしそれはクーデターでも起こす気か?計画がゼロだと話しにならんぞ」  タバコの灰を灰皿に落としながら零条は王騎の強欲に呆れる。  一条 清明、一条帝国軍の創設者で王騎や緋花の父親にあたる人物で元帥として軍を牛耳っている本人である。  「計画ならあるさ、流石に俺もそこまで馬鹿じゃあねぇ。おまえたちふたりの協力が必要なんだ、付いてきてくれるか?」  そしてふたりは一通り王騎の計画を聞くことにする。  「まず俺達は今回吸血鬼殲滅戦に勝つ」  「簡単に言ってくれるねぇ」   呆れながら呟く師龍を無視しながら計画の話を続ける。  「そして予め買収しといた将校たちに協力してもらい今の清明と俺のどっちが元帥に相応しいか将校会議に掛ける。そしてこの俺が勝つ」  ふたりはまるで子供の夢を聞かせられているみたいに聞こえたのだった、そして師龍は成功確率を聞く。  「成功確率?考えてみろ今回吸血鬼殲滅戦の総司令官は俺だ、勝てば英雄になる。そして将校たちも最強の師龍隊を手の内にあるこちらに味方するに決まっている、既に将校の三分の一は買収済みだ」  それを言われてふたりは了承することとなる、吸血鬼殲滅戦に勝利することを条件として。  そしてふたりは本部を後にする。  「師龍」と零条は言うと師龍は分かっていると伝え呟く。  「成功する気がまるでしない、元帥はそこまでぬるくない」
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