訓練と憑依と野望

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 「サラ中佐?まだ1時間も経ってないですけど仕事の方はどうしたんですか?」  慌てながらも明らかに早すぎるサラに突っ込まずにはいられない綜馬だった。  「貴様を早く実戦投入させる為に東雲に仕事を変わってもらったのだ、それで?私がいない間はサボっていたのか、呑気なものだな」  必死で否定する綜馬を無視しながら剣を抜くと、来い。とだけ言う、そして綜馬も構えるとサラの方へ走り攻撃を仕掛ける。  「ほう、さっきの間は何もしてない訳ではなかったのか。少しだが扱い方の腕が上がっている。」  華麗にさばきながら綜馬の太刀筋を見て先程とは違う事を確認する。  それは綜馬の身体を使ってルシファーが動かしていた、という点に着目してみる。そうすると自然に綜馬の身体にはその感覚が少しだが覚えているものだ。  「それならこちらからも攻撃させてもらうぞ」  そう言い反撃に入るサラ、手を抜いているからあまり早くないがサラ的に綜馬がギリギリ避けれない速さで攻撃を仕掛けていく。  しかしそれはさっきまでの綜馬ならだった、今の綜馬は余裕のある避け方をして反撃さえしてくる程になっていた。  「随分と腕を上げたのね、この短時間でどうやって?」  サラはさらに速さを上げて攻撃する、それにきっちり綜馬はついてくる。流石に速さを上げると防御が多くなり攻撃が少なくなっていく。  「身体が微かに覚えているのを忘れない内に実践してっ!身体に覚えさせているんですよっ!」  サラは思い出したのだ、悪魔憑依した時の記憶を。あの時のルシファーの剣技は綜馬の身体を元にした動き、つまり将来的にはあの動きも可能となってくる。  「それはいい心掛けだ、しかし!」  その瞬間にサラは足払いをして綜馬を転ばし剣を突きつける。  「剣技に意識が行き過ぎて足がめちゃくちゃだ、軽く足払いしただけで転ぶほどにな」  サラは一息ついて綜馬の方を見つめる。  「くっそー、上手く出来てると思ったのにー。もう一回!もう一回だ!」  その言葉にサラはいいだろうと言わんばかりに構えてみせる。  その日は朝から暗くなるまで訓練が続いた。
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