第1章

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 電車が今までとは逆向きに走り始め、車両が左右に大きく揺れる。 「向こうに行ったら友達たくさん作ってよね」  次の駅のホームがあっという間に過ぎ去っていく。 「うん、たくさん作るよ。でもね、でも、親友は一人だけだよ」  またひとつ、電車は駅を飛ばしていく。 「私も、私も親友は一人だけ。他の誰でもない、一人だけ」  まもなく……というアナウンスが入り始める。 「困ったらいつでも連絡してね。すぐに会いに行くから」  電車が地下に入って、音がうるさくなる。 「たくさん連絡取ろうね。電話で、いっぱい話そうね」  青い照明の駅が後方へ飛んでいく。 「好きだよ、ずっと」 『まもなく羽田空港国際線ターミナル』 「大好きだよ、愛奈」
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