第1章

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 ドアが開いた瞬間、愛奈は目を擦って全力でトンネルの奥へ走っていってしまった。 私はぼうぜんとその後ろ姿を見送った。 すぐにドアは閉まり、電車は発車した。 そして電車はそのまま終点に着いてしまったので、私はよろよろとホームに降りる。 母に屋上で見送るよう進められたけど、そんな野暮なこと、私はしない。 青い電車の方向幕はいつのまにか品川に変わっていた。 その折り返しのエアポート急行に乗り込み、空港を後にした。  トンネルを出ると、さっきまで夜の色を残していた空がこの電車みたいに染まっている。 この空を愛奈が跨いでいくと考えると、感慨深い。 明日から、愛菜は向こうで、私はこっちで、新しい「いつも」を過ごすんだろう。  そうして、私は大きく息を吸って、いつもの赤い電車に乗り換えた。
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