第1章

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早朝ということもあってか、スーツ姿の男の人がちらほら見受けられる程度だ。 「ごめんね」  愛奈がそう言ったのは、ホームに上がってすぐだった。 なんで、って聞きたかったのに、私は口を噤んで下を向いた。 その後は愛奈も何も言わず、まもなく乗るべき電車がホームに滑り込んできた。 いつもの赤い電車じゃなく、空みたいに青い電車だ。 羽田空港と表示された方向幕を思い切り睨む。 本当は空港なんて行きたくない。  二人で電車に乗るのは何度目だろうか。 最初は横浜に遊びに行ったとき。 次は海岸に遊びに行ったとき。
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