第1章

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その次が、オープンキャンパスの時。 その次が、今日だ。 窓の外を猛スピード景色が猛スピードで流れていく。 その間も二人は何も言わず、ただ外をじっと眺めていた。 途中の駅で旅行に行く人だろうか、スーツケースを持った人が何人も乗ってきて、たちまち電車の中は埋まった。 沿線の桜はまだ蕾を膨らませている最中で、もうすぐ開花報道が出るくらいだ。 今年は例年よりも遅いらしく、愛奈は開花を見ることなく行くことになってしまった。 「桜、もう一度見れたら良かったな」  独り言か、語りかけてきたのか、愛奈はふとそう零した。
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