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「にこちゃんって…やっぱり料理上手ね。さっきからテキパキこなしていくし」
「そんな風におだてたって何にも出ないわよ。……まっ、アイドルとしてはぁこれぐらいできないとねぇ~」
「にこの場合は料理系アイドルというより…アイドル系料理人かしら…」
さも当然のごとく答えるにこだったが明らかに料理慣れしている。
絵里と真姫も共同で作っているのだが、
大半の料理はにこがこなしてしまっていた。
にこ自身は意識していないだろうが、2人が入り込む余地や必要がなかった。
「なにかこう、ちょっとだけ羨ましいところがあるわね~。私も下手までとはいかないけど、ここまで差があると自分の料理スキルを鍛え直す必要があるような…」
「エリーはそこまで気にするような必要はないと思うのだけど、むしろにこちゃんが特殊なだけよ」
絵里も真姫も決して下手ではなく、むしろ出来る方なのだが、目の前にいるにこと比較してしまうとやはり差がついてしまう。
「まぁそんなのは経験の差ってやつでしょ?私は妹弟がいるし、その過程で料理する機会が多かったわけだから。こういうのってやればやるほど上手くなっていくもの…」
よっとフライパンを何度か返しながらそう答える。
「…にこはいつか偉大な料理人になれると思うわ。」
ポロっとこぼした絵里だが
「私はそういう予定はないわよ?……だってぇにこにーはぁ、将来素敵な旦那様結婚してぇ大事な大事な旦那様のためだけに料理する専業主婦にぃ……」
「はいはい、にこちゃんの将来設計は分かったから。もう料理完成しそうでしょ?みんなを呼んでくるわ」
「むぅぅ…真姫ちゃんはいっつも私の話してる途中で~……まぁせっかく作ったのに冷めちゃもったいないしね。頼んだわよ」
「分かったわ」
それと同時にドアがパタンと閉められる。
「……ほんと、2人は仲がいいんだから」
クスッと笑った絵里は料理人に聞こえないような小声でそう呟いた。
「?…何か言った?」
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