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別荘のドアのすぐ脇でパカッと薪が割れた音がする
地面に転がった薪を切り株の上にセットし、再び小斧を振り下ろす。
「け、結構難しいし大変だね、薪割りって。私ちょっと疲れちゃった…」
ことりがふぅと息を吐く。
「コツさえつかめばそこまで疲れることもないんよ。まぁ力仕事だからうちも疲れるは疲れるんやけどね」
暖炉用の薪を宿泊分に必要な数割っていた。…のだが
「私ももう腕が疲れてきちゃいました…でももうこんなにあれば充分に足りますよね?」
割った薪を視界に入れつつそう答える花陽。それにつられ視界に入れる。
それを見た希は思わず、あ~…という声が出た。
「そ、そうやね、充分充分、…むしろ多く割りすぎちゃったかもしれないけど…」
「確かに…私たち熱中しすぎちゃってたのかもしれないね…あはは…失敗失敗…」
割った薪は恐らく宿泊に必要以上なまで積み上がっていた。
薪割りを始めて数分、花陽とことりがこの作業の楽しさを見出した。
それから更に数十分、ほぼノンストップで割っていたので木片の山ができてしまったのである。
希も楽しそうな2人に割り方を教えるのに夢中になってしまい、そちらにまで目は届かなかったようだ。
ことりの言う通り失敗だった。
「まぁ割ってしまったものは仕方ないんね、ちゃんと真姫ちゃんには報告して謝っておこっか」
「そうですね…真姫ちゃん、怒られなければ良いなぁ…」
と、噂をすればなんとやら、別荘のドアが開き、淡い薔薇色の髪を揺らし、こちらへ向かってくる。
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