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「チーズケーキ…アルノ!?」
振り返ると親鳥から渡される餌を待っているかのような雛鳥が1人。
その目は嬉しさと期待の眼差しをキラキラと向けていた。
「…え?あ、うん…そうよ?あ、あるわよ?」
突然のことに困惑する絵里。
それもそのはず、一目散に飛びつくと思っていた穂乃果よりも先に、ことりがはやぶさの如く突っ込んできた。
「さすがや、チーズケーキの申し子という二つ名は伊達やないね…!」
「い~っぱいの白米を余すことなくふんだんに使ったケーキだったのなら、私も飛びついていました…危なかったぁ…」
「花陽?私にはそれがケーキとして成り立っているようには思えないのですが…?」
「え、なになに?ケーキあるの??」
ワンテンポ、ツーテンポずれて穂乃果が反応してきた。
「え、えぇそうよ穂乃果、だからその…」
なんだか色々と指摘する気が削がれてしまった絵里は
「…みんなで食べましょう」
苦笑いしつつなんとかそう言い、立ち上がりキッチンへと向かうドアを開ける。
「あ、ねぇ絵里?取り皿とかフォークとか必要でしょ?私も一緒に行くわよ」
「あぁ、確かにそうね、じゃあご同行お願いしてもいいかしら?」
「まっかせなさい!」とにこは立ち上がり絵里の後に続く。
「じゃ、うちも行こうかなぁ。あ、そうだ。皆食器重ねて~、取りに行くついでに持って行くんよ」
「え、でもなんか悪いにゃ…」
意識はしてなくとも、年上に色々任せるのに少し申し訳なさを感じる凛。
「い~の!先輩って言うのは禁止やけど先輩らしく振る舞うぐらいはええやん?」
笑顔でそう言いテーブルの上を片付け始める。
「それなら…希のご厚意に甘えましょうか、ありがとうございます」
「いいっていいって~」と言いながら食器を乗せたお盆を両手で持ち
「それじゃあ、今ケーキ持ってくるから少しだけ待ってるんよ?」
そう言い、希も部屋を後にした。
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