始まりの始まり

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部屋の手前まで来てにこは違和感に気付く。 「…穂乃果達はこの部屋にいるのよね?」 「そのはずよ…でもどうしたのいきなり?」 「何か…あまりにも静かすぎて…」 不安のあまり、そう口にするにこ 「きっとにこっちと同じように強盗って線に気づいたんやないかな?」 「そうね、海未や真姫辺りがその可能性に気づいて、息を潜めて隠れているのかも知れないわ」 (確かにそれなら辻褄が合う、だけど…) 視線を部屋のドアに向ける。ドアはしっかりと閉まっているが (あの黒いシミは…一体なんなの…?) そのシミはドアの下の隙間から溢れ出てきたように見える。 物はわからないが不吉なものを思わせる、黒。 (怖いけど…ちゃんと穂乃果達を連れて逃げなきゃ…) 強盗なんかじゃないのかもしれない。 ただイノシシなどの動物が別荘にぶつかってきただけなのかも。 色々な可能性を考える。 (そう、きっと私の考えすぎよ…) そう心に言い聞かせ、手汗をかいた手で ドアノブを捻り、ゆっくりと押し開けた。 部屋に入り戦慄するまでの時間は そうかからなかった。
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