1人が本棚に入れています
本棚に追加
「いや…いやぁぁぁあぁぁぁあ!」
「えりち!落ち着いて!パニックになっちゃだめ!だめだよっ…!」
その声にハッと意識が戻ると床を見ていた
いつの間にか膝を折り曲げ、座り込んでしまったようだった。
(穂乃果は…?どうなっちゃったの?)
そう思い、恐る恐る顔を上げる。
現実に変わりはなく、黒い人型は穂乃果の胸に直剣を突き刺したままだった。
目を閉じてグッタリとしたまま動かない穂乃果。
(ま__守れなかったんだ、私)
後悔と悔しさに唇を噛み、鉄の味が口に広がる。
「…血?」
唇からこぼれ落ちた血を見て疑問が浮かぶ。
穂乃果からは血が出ていなかった。
変わりに墨汁のような黒い液体がドクドクと床に溜まっていた。
遠くの床を見るとその溜まりはいくつか見受けられ、その数は穂乃果を合わせると…6つの大きな溜まりがあった。
(もしかして……)
(そっか…みんなもこんな風に殺されちゃったんだ)
妙に冷静だなと思いつつもそう結論付いた。
猛烈な喪失感がこみ上げてくる。
(最初にシミだと思ったものは誰かがやられた後なんだ)
今更分かっても対処も何もない。
(悔しい、助けたい…でも)
過去に戻って助けようなんてことは、できやしないのだから。
(だったら、今やるべきことは結局一つじゃない)
ふらりふらりと立ち上がり黒い人型の前に立つ。
最初のコメントを投稿しよう!