始まりの始まり

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「いや…いやぁぁぁあぁぁぁあ!」 「えりち!落ち着いて!パニックになっちゃだめ!だめだよっ…!」 その声にハッと意識が戻ると床を見ていた いつの間にか膝を折り曲げ、座り込んでしまったようだった。 (穂乃果は…?どうなっちゃったの?) そう思い、恐る恐る顔を上げる。 現実に変わりはなく、黒い人型は穂乃果の胸に直剣を突き刺したままだった。 目を閉じてグッタリとしたまま動かない穂乃果。 (ま__守れなかったんだ、私) 後悔と悔しさに唇を噛み、鉄の味が口に広がる。 「…血?」 唇からこぼれ落ちた血を見て疑問が浮かぶ。 穂乃果からは血が出ていなかった。 変わりに墨汁のような黒い液体がドクドクと床に溜まっていた。 遠くの床を見るとその溜まりはいくつか見受けられ、その数は穂乃果を合わせると…6つの大きな溜まりがあった。 (もしかして……) (そっか…みんなもこんな風に殺されちゃったんだ) 妙に冷静だなと思いつつもそう結論付いた。 猛烈な喪失感がこみ上げてくる。 (最初にシミだと思ったものは誰かがやられた後なんだ) 今更分かっても対処も何もない。 (悔しい、助けたい…でも) 過去に戻って助けようなんてことは、できやしないのだから。 (だったら、今やるべきことは結局一つじゃない) ふらりふらりと立ち上がり黒い人型の前に立つ。
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