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(行ったみたいね…)
そして、目の前のものに見据え、
「私のかけがえのない……あの子達を奪ったあんたは……絶対に許さないわ」
黒澄んだ部屋の中、敵意と憎しみを込めた瞳で貫くようにして睨む。
(穂乃果、皆…仇はきっとちゃんと取るから)
穂乃果を視界に入れつつ心の中で、一方通行の約束する。
すると、直剣を抜かれた穂乃果の体はたちまち白い煙のような光となってちりじり空気の中へ消えていった。
(穂乃果の体ごと…消え…た?)
あまりに不自然でありながらも、自然な消え方に驚きを隠せずにいた。
……そのせいか合間を詰め、直剣が高く振り上げられていることに気づくのが少し遅る。
「くっ…?!」
ブンッと振り下ろされた黒い剣を咄嗟に体全体を捻り、スレスレでかわす。
(この包丁で防ぎきろうかと考えていたけれど…)
大きな音はせずに床に叩きつけられた直剣だが折れたわけでもなく、スッと持ち上げると床をゴッソリ抉っていた。
(…それは無理そうね)
ウェーブナイフは厚さもなく強度にも不安があり、出来て皮一枚斬りこむか1~3度受け流せる、その程度の使い道だと判断する。
身に纏っている鎧を見るに歯が立たないのは一目瞭然。
(…きっと仇、取ることはできない)
(だから、今はかわすことに専念して頃合いを見計らって逃げて合流しよう…)
(その後、準備して戻ってきて…分厚い包丁でもなんでもいい、それでちゃんと仇をとるわ)
そう思い、集中力を切らさずに動向を伺う。黒い鎧に黒色を纏う直剣、全て、黒い。
(ただ…怖い、あの剣も、何よりこいつ自身も)
黒色が恐怖を増長していく。
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