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そんな話し合いがあり、後日。
真姫の両親から快くOKサインを得たメンバーは別荘へと向かう。
電車内、窓から見える景色は田んぼに囲まれており、自然豊かな田舎を思わせる。
遠くには木々が連なる山も点々とそびえており、緑々しい風景が広がる。
タンポポの花や草木がゆらゆらと風に揺れる。
「あぁ…やはり…ここの自然は…良いですねぇ…」
「ねぇ海未ちゃん……自然を感じるのはとっても良いことだと私は思うよ?けどその格好と抱えてるリュックって、やっぱり……登山する……つもり?」
愛用している枕をギュッと抱き、重装備な登山家に問いかけると
「えぇ、もちろんですが?」
と当たり前のことのように返す。
「凛は…凛は絶対登らないよ…絶対…絶対だよ?だって海未ちゃんのあれは登山であって登山じゃなかった…何か、そう、生死を争う何かだったにゃ…」
「だ、大丈夫やって。うちらも流石に山を登る予定はなかったし、登山グッズは持ってきてないやん?」
そんな凛を優しく宥める希、前回来た時の生死を分けるような、そんな登山が相当きているようだ。
ハッとその様子に気づいた海未。
「…すみません凛、どうしても山や自然がある場所へ向かうとなると、気が引き締まって準備に力が入ってしまい…」
「まぁまぁ、好きな事は多い方が素敵よ。」
フッと笑ってそうフォローする絵里
「その荷物だって登山用のものが詰め込んであるみたいだけど、全部が全部そうって訳ではないんでしょう?」
「………………………」
「………そう、なるほどね、これは、将来有望な登山家だわ、えぇ」
絵里の問いに黙秘権を行使した。
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